Musta jää:フィンランド人が大好きなテーマ。不倫の行方やいかに

結末はこうでもしないと観客が納得しないってことかな

監督 Petri Kotwica
製作 2007年 F・独合作
出演
Outi Mäenpää (Saara)
Martti Suosalo (Leo)
Ria Kataja (Tuuli)
Ville Virtanen (Ilkka)
Sara Paavolainen (Lea)

中年男と女子大生の不倫が恐ろしい展開をたどる物語。フィンランド人は好きだね、こういうテーマ。身近な話題なんだろうが、日本でも似たようなものか。
三角関係が恐ろしい結末を迎える映画というとマイケル・ダグラスの「危険な情事(Fatal Attraction、1987)」が有名だけど、あの手の極端にアブナイ女が出てくるわけではない。しかし、本作に登場する二人の女性はそれこそどこにでもいそうなフィンランド人なので、現実味を帯びたコワサがある。物語の進行とともにオトロシさが深まり、その結末に期待も高まる。で、最後は悲しくもありほのかな希望も感じさせるように終わるのだが、これは同監督の前作であるKoti ikäväに類似したパターンだ。内容はまるで違うけどね。

全体としては面白い映画だけど、いくつも偶然が重なるという点はいただけない。ご都合主義に興ざめするからね。しかしなんといっても理解できないのは女子大生が夫妻の家に連れて行かれる場面。映画の冒頭、女子大生がこの家を除き見ているシーンがある。すなわち彼女は不倫相手がどこに住んでいるのかを知っているわけだ。それなら、後に連れて行かれた時点ですべて飲み込むはずではないか。
誰か死ぬだろうという予想はあたったが、「誰が」は確信できなかった。二人もしくは三人まとめてもありかな、とも思ったが、「あの人」が死ぬことでストーリーが実を結ぶ点は納得。

なおMusta jääは直訳すると黒い氷。日常で使う場合は雪が一度溶けてから凍結した状態の道路のこと。路面が透けているので氷が黒く見えるから。表面には水が浮いてたりして、雪に覆われた「白い氷」よりはるかに滑りやすい。車が不用意に走り走り込むととんでもないアクシデントになりうる。本作のタイトルは彼らがそこに突っ込んだことを示唆しているわけだ。

Petri監督は本作でJussi賞の最優秀監督賞、最優秀脚本賞を受賞。