Täältä tullaan, elämä!:ここから始まる人生

今も昔も変わらぬ若者たち、だが・

監督 Tapio Suominen
製作 1980年 118分
出演
Esa Niemelä  (Jussi)
Tony Holmström  (Pete)
Kati Outinen (Lissu)
Risto Piskunen  (Topi)

オープニング、エンディングともにちょっとしたショックを受ける。ま、ストーリーの顛末はDVDのジャケットを見るだけでもある程度の予想はできるものの、見終わったあとも切なさが長く続く。時代とともに表層は変われど、若者の抑圧感は共通している。

その基調をフィンランドに求めると「泥酔する若者」、「セックスへの執心」が欠かせない。そして破滅へと続く。依然としてフィンランド映画につきまとう要素だ。そのため、本作は典型的なフィンランド映画といってもよい。

映像も同様。すでに30年以上前の撮影だが、風景は今(2013年)とあまり変わっていないことに気づく。特にヘルシンキ駅前なんかはほとんど同じ。もちろん地下鉄やForumなんかはこの映画の後に登場するのだし、90年代以降には新たに大型建築が続々と建設されて変化は続いているのだが、基本的には常に見慣れたありさまだ。

主人公はtarukailuluokka(特殊学級)の生徒。現在、そうした呼び名はなくなり、今はKymppiluokka(10年生クラス)というが、内実は同じ。小中(9年間)の勉学について行けなかった生徒を対象とする補修学年である。落ちこぼれや校内暴力がフィンランドにも普通にある(あたりまえだ)ことが実感できる。そんな少年の誕生から成長を綴る。

フィンランド語のタイトルは「ここから始まる人生」ってことだけど、人生、終わってるじゃんという展開。しみじみと悲しい良作。「面白い」という内容ではないが、印象が深く、個人的には「大事な」作品。1980年の国内映画で最も多く観客を集めたというのもうなづける。
また、のちにカウリスマキ作品の常連女優となるカティ・オウティネンのデビュー作でもあります。

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