ヘルシンキ中央駅

街の輪郭をつかむ基準になる場所

空港への行き帰りや観光の基点として是非とも覚えておきたい場所。どこへ行くにも中央駅からの東西南北を考えれば、位置関係がつかめます。100年を超す歴史を持つ駅舎の内部を見るだけでも価値があるでしょう。構内にはカフェ、ファーストフード店、スーパーマーケットやパブもあります。さすがに首都の中央駅だけあって、他の都市では見られない充実さです。電車に乗るときに利用するのはもちろんです。

 

中央駅正面

ヘルシンキのアールヌーヴォー建築の代表的なもの。エリアル・サーリネン(E.Saarinen)、1914年の作品。その後修復作業が加えられ、実際に使い始められたのは1919年から。鉄道自体はヘルシンキ⇔ハメーンリンナ間が1862年に開通。
近郊列車はもとより、タンペレ、トゥルク、ロヴァニエミなどへの長距離列車も、すべてこの中央駅が起点。モスクワ、サンクトペテルブルクへのロシア行き国際列車も発着します。全国的にキップ販売は機械まかせにシフトしていますが、長距離列車の切符は構内の販売所を利用できます。両替所が平日なら夜9時まで開いているのも便利です。


トラム乗り場に面しているのが正面入り口。木製の重たいドアを開けると目の前に待合場所が、その右手には両替所のForexがあります。ガイド・フィンランドのツアーは、この待合場所(写真・中央)から始まることもしばしばです。


構内から待合場所のベンチを臨むと地下鉄等に続くエスカレーターがあります。プラットホームへは正面入り口からまっすぐ進みます(写真中央)。有人の切符売場やツーリストインフォメーションは駅の西ウイング(同写真の左奥)にあります。

 

駅舎構内を抜けた正面、プラットホームの中央にあたる5~10番線はロシア行きを含む長距離列車用。近郊列車はこの左右に発着し、右奥の1~4番線がヴァンター方面、左側奥の11~19番線はエスポー方面と振り分けられています。空港行き列車は双方の乗り場から発車しており、I列車が右、P列車が左となっています。待ち時間を含めても両者の所要時間に大差はありません。

ローカルルールが意外と面倒

空港往復を除くと、近郊列車を利用するのはヌークシオ国立公園に行く場合くらいのものでしょう。まずはエスポーに行くわけですが、これには4種類の列車があり、乗り場は13~15番線です。長距離用路線の左側を奥に進むか、ツーリストインフォや各種の店舗がある建物内を通って行きます。
ところで、フィンランドの鉄道駅には「改札口」というものがありません。そのため、「どこから入ればいいの?」と戸惑ったという話を聞きますが、これはたいした問題ではありませんね。しかし、停車中の電車のドアは閉まっている、というのはちょっと困ります。乗車時にはドアにあるボタンを押し、自分で開けるのです。たいていは他にも利用客がいるでしょうから、これも笑って過ごせることでしょう。ただし、「乗車前に目的地までの正しい切符を買っておく」ことだけは気をつけなければなりません。とりあえずA地点までの切符を買い、乗車中に目的地をその先のB地点に変えたとしましょう。A地点を越え後に検札官が来た場合、悪気はなくとも問答無用で不正乗車=80ユーロの罰金を課せられます。

 

電車のドア