ヘルシンキとタリンを結ぶフェリーは三社が運航していますが、おすすめはタリンク・シリヤ(Tallink Silja Line)。所要時間が最短の2時間、出港時刻の選択肢も多いからです。三社とも複数のシート・クラスを用意していますが、基本的なしくみは共通しているので、タリンク・シリヤで説明します。
タリンク・シリヤはランシターミナル(Länsi
terminaali=西ターミナル)が運航拠点です。中央駅からトラムの7番または6T(本数少ない)で10分ほどの乗車時間ですが、余裕をもって着きたいところ。自由席で見晴らしのいい場所を確保するにはフェリーの出港1時間半くらい前に到着しておいたほうが無難です。旅行シーズンには席にあぶれて通路の片隅に寝転がっている人もいます。
自由席
上質なソファーでくつろげる一角、電源コンセントもあってPC作業に最適な2~4人掛けのテーブル席などもありますが、これらを確保するには乗船開始の1時間ほど前に並び、ダッシュで向かわなければなりません。続いてバーラウンジやファーストフードの座席に挑戦。これらの席取り合戦に敗れた場合、簡易カフェのカウンタースツールがかろうじて座れる場所となります。
自由席も基本的には乗客人数を上回る数があるのですが、四人席を一人で占有する人などがいますので、実際には座れないということがあるわけです。なお、ファーストフード店などでは、何も注文しなくてもかまいません。
コンフォートクラス
ソフトドリンク・軽食がつき、快適(コンフォート)に過ごせます。大きな窓からの眺めも良好。座席としてはここが最高。ただし軽食といっても、サラダ、ビスケット、ポテトチップスといったところ。いっぽう、ラテ、オレ、エスプレッソなど、コーヒーは種類が豊富でおいしい。サンドイッチなどの有料販売もあり。
ビジネスラウンジ
暖かい食事、ビール、ワインに加えウイスキーやブランデーなどのアルコール類も飲み放題。見晴らしはよくありませんが、落ち着いた雰囲気を楽しめます。コストパフォーマンス的には疑問もありますが、快適であることに間違いはありません。高速Wifiも売りの一つ。エリア内に専用トイレがあるのも助かります。
ブッフェ
メニュー内容としてはVipラウンジを上回り、すべてを一口ずつ、と思っても食べきれないほどの種類があります。デザートも豊富。加えてビール、ワインも飲み放題。タリンから夕刻に戻る場合には最適です。座席自体はファーストフード店のそれに比べればかなり良いものです。
個室
2段ベッドが二組供えられたBクラスキャビンがお得。ただし部屋は狭いので閉塞感が強いです。酒盛りをしながら(規則的には違反)過ごす若者グループがいたりもします。
横になれるので帰路には非常に楽。
座席確保のメリット
以上、いずれもゆったりと過ごせるのはもちろんですが、座席予約にはそれ以上のメリットがあります。ヘルシンキ、タリンともに、港には出航1時間前に着くようにとアドバイスされています。実際には30分前で間に合うのですが、先述のように自由席は奪い合いとなりますので、良い席を確保するには1時間前には並び始める必要があるからです。出航手続きを考えると、港には出航1時間半前に着きたいところ。行きはそれもよいでしょうが、問題は帰り。座席確保のために並ぶとなると、観光時間を減らさなければなりません。一方、席を予約しておけば、港には出航ギリギリでも構わないので、観光時間を1時間ほど延ばせます。滞在5~6時間の中で1時間の差は非常に大きいものがあります。