私の教え子:Suden vuosi

許されざる愛…なんて大げさな内容じゃない

監督Olli Saarela
製作 2007年 95分
出演
Krista Kosonen … Sari 女子大生
Kari Heiskanen   … Mikko 大学教授
Johanna  Schultén … Mikaela  Mikkoの妻
Kai Vaine … Ilari
Ville Virtanen … Leif

同タイトルの小説(Virpi Helena Hämeen-Anttila:2003年)の映画化。ホラー映画のような重厚な音楽と暗い映像で始まる。このオープニングは「サウナ」の冒頭を彷彿とさせるなあ、と思ったら、なんと同作の主人公=Ville Virtanenが出演してる! 両者には何の関係もないが。

そんな支離滅裂な思いが象徴するように、なんだこれ的な内容。思わせぶりな設定にふさわしい展開はなく、登場人物のキャラクターにも魅力はない。

役者としては大学教授のMikkoに扮するKari Heiskanenがなかなか渋い。優しいエド・ハリスというか、知性的なブルース・ウィルス。あるいはアクション要素のないジェイソン・ステサムといった感じ。

これはホラー映画なのですか?

主人公の女子大生Sariは美人かつ成績優秀なため、大学教授のMikkoが関心を持つ。しかし当初は文学を高レベルで語れる同志という興味であり、恋愛感情ではない。だが、Mikkoは妻に浮気をされて苦しい日々を送り、Sariは持病のてんかんを恐れる毎日という流れのなかで、結局「そういう」関係になる。ちっ。性格に一貫性を保ってくれよ。そういうわけでキャラクターに魅力を感じないのだ。Mikkoが女たらしであってもいいんだが、それならそれで徹底させろ、ってこと。

そうした掘り下げもない中で、家庭崩壊、非道徳的なセックスというありがちな描写が続く。テーマにはなんの新しさもない。内容的に面白かったのは一か所くらい。生徒と関係を持ったことを非難する人々にMikkoが切り返す場面だ。

「あんたは旦那の浮気を見過ごしてるし、伯母さんはアル中だ。伯父さんときたら未成年の男の子を漁ってる。いやあ、素晴らしい人々に感謝」。みたいなことを言う。俺がクズならお前もクズだ、というわけ。

主要な撮影ポイントは見なれた場所ばかりだが

映画としてはつまらないんだけど、映像には惹かれる部が随所にある。主要カットのほとんどが大聖堂を中心としたエリア。旅行者にも見慣れた場所を、いい構図で撮っている。技術的にはどうということはないが、巨大クレーンを使わなければ撮影できないので、素人には無理だ。「十二人の使徒」(上の写真)をこんな構図で見たのは初めてだ。

地味な映画といえるが、日本でもDVDが発売されてるのね。邦題は「私の教え子」。原題の直訳である「狼の年」とはまるで違うが、むしろ適切な訳ではないかな。「Sudenvuosi=狼の年」じゃフィンランド人にも意味がつかめないから。

なんとなく、そんな関係になっちゃった・・・

しかしコピーがいただけない。

~教授と女子大生の抑制できない危険な関係を描いた問題作~

~その愛は許されるのか~

だってさ。そんな緊張感ないよ。欲望に流されて、なるようになっちゃった、ってだけだもん。最終シーンは「実はそうじゃなくて・・」という解釈もできないことはないが、どうでもいいや。

原作を読んだわけじゃないので推測にすぎないけど、小説は面白かったけど、映画は・・・つう、よくあるパターンなのかな。

ちなみにSari役のKrista Kosonenはブレードランナー2049(2017年)にも出演。