すでにモバイル・アプリが浸透しきっていますが、形のある「キップ」のほうが便利な側面もあります。そこで本項では、旧態依然のキップについて説明します。
まず形状としてはクレカサイズの厚紙(写真下・左)と、レシート状のもの(同・右)との二種類があります。キオスクなどで購入するのが前者、後者は自動販売機から出てくるものです。有効時間の長さについては両者に違いはありませんが、クレカタイプ(事前購入)は、乗車時にカードリーダーに読み取らせた時点から有効時間がスタート(使い方説明は別ページ)。自動販売機で購入した場合はその時点から秒読みが始まります。金額は自動販売機のほうがややお得(後述)です。
有効区間を確認する
キップを買うには、まず有効区間を理解する必要があります。首都圏はヘルシンキを始めとして8つの市で構成されていますが、HSL(首都圏交通機関)はこの地域をA・B・C・Dの4つに分け、それぞれに必要なキップの種類を定めています。まずは区分の概要をごらんください(クリックで拡大)。
図を見ればわかるように、ABのキップではCもしくはD区域には行けない、ということです。
近郊列車および地下鉄路線も示された詳細図は以下の通りです。
これは詳しすぎてむしろ混乱するかもしれません。ヘルシンキ(周辺)観光で現実的に必要なのはABもしくはABCをカバーするキップだけと断言できるので、最初の概要図でおよその感覚をつかんでおけば十分です。
そこで、ABおよびABCの有効地域と注意点を記しておきます。
ABの有効地域
ヘルシンキ市すべてとヴァンター、エスポーの一部をカヴァー。ヘルシンキ空港は区分外。
ABCの有効地域
ヘルシンキ市、ヴァンター市、エスポー市すべてで有効。空港への往復にも使えます。
購入例
・空港から市内のホテルへ
ABC
・ヘルシンキから隣町エスポーのアールト大学へ AB
・ヘルシンキからヌークシオ国立公園へ
ABC
観光にはデイ・チケットが便利
キップを買う際には、さらに有効期間を選びます。
おおまかには2種類。80分(ABCは90分)有効の1回券(kertalippu=ケルタリップ)と、1日(24時間)から13日まで、1日単位で選べるデイチケット(vuorokausilippu=ヴオロカウシリップ)とに分けられます。使い始めから24時間以内に3回以上乗るならデイチケットがお得。乗れば乗るほど割安に。仮に値段的にはトントンであっても、購入の手間を考えるとデイチケットを選んだほうがよいでしょう。
なお、1回券でも有効時間(たとえば80分)であれば乗り降りは自由。バスからトラム、トラムから地下鉄へ、と乗り換えることができます。
有効時間の「80分」というのは、その時間内に降りろというわけではなく、最後の乗車が有効時間内であればOKということです。したがって現実的には80分以上の乗車も可能です。
1枚のチケットでなんにでも乗れる
1回券、デイチケット、いずれも首都圏の公共交通機関すべてに有効です。すなわち、バス・トラム・地下鉄・近郊列車・スオメンリンナへのフェリーに乗れるわけです。
主なキップの値段
自動販売機で購入するABおよびABCエリアの大人料金は以下の通りです(単位:ユーロ、2024年11月現在)。17歳未満は半額。
キオスクで買う場合にはチャージ料として、それぞれに1ユーロが加算されます。
種類
AB
ABC
一回券
2.95
4.1
一日券
9
11
二日
13.5
16.5
三日
18
22
四日
22.5
27.5
五日
27
33
六日
31.5
38.5
七日
36
44