フィンランドの「2時間サスペンス」と思えば腹も立たない
監督
Saara Saarela+Minna Virtanen
製作
2003年 135分
出演
Minna Haapkylä
Petteri Summanen
Kari Pekka Toivonen
Robert Enckell
Juha Veijonen
だるい展開、謎解き（犯人あて）にもヒネリが弱い。TVドラマでいいんじゃない、と思ったらそうだった。
原作は刑事ものフィクションを大量に発表しているLeena Lehtolainenという作家のシリーズもの。Maria Kallioという女性警部を主人公として犯罪を暴いていくわけけだが、そんなこととはつゆ知らず。DVDのパッケージにはKallioと大きく出ており、Rikospoliisi（刑事警察）と添えられているので、ああ、あそこら辺の犯罪物語か、と思った。
Kallioというのはヘルシンキの下町で、昨今はイメチェンに励んでいるが古くは犯罪の巣。ヘルシンキ周辺の住民ならみんな知ってること。なじみのある場所なので興味をひかれたのだが内容はまるで違ってた。
Kallioのもう一つの意味である女性警部の名前（Maria Kallio）。マリアを主人公とする小説は93年から2020年までに16冊出ているし、TVドラマは2003年に13作放映された。そのため、Kallioが小説の主人公であることもフィンランド人には広く知れ渡っているはずだが、それは知らなかったのよ。
さてKuolemanspiraali（死のスパイラル）と題された本作はシリーズ一作目。フィギュアスケーターの殺害がテーマ。その展開は冒頭に記したように退屈。結婚したマリアは避妊器具をつけていたにもかかわらず妊娠、とかいかにもTV番組。まあ、「2時間ドラマ、家政婦は見た！」なんて番組に文句をつけるほうが無粋だな。
そういうわけで、適度にハラハラしたい人、フィンランドの大衆番組に馴染みたい人にはいいでしょう。個人的には続きを見る気はしない。
なお、監督の一人、ミンナ・ヴィルタネンはカウリスマキのコントラクトキラー（1990）に花売りとしてちょっと出演している。