フィンランドの日本食材が楽しくてたまらない

日本語表記は商品ステータスを上げるため

「すてきコックパンくず」ってのは商品名なのか? そもそもパン粉がなんで「くず」なんだ? というと、これはパン粉の英語であるbread crumbsを単語ごとに和訳したためだろう。crumbsを単独で使えば確かに「くず」だから。これは中国製だけど、タイの商品にはPankoと日本語をそのままローマ字書きにしたものがある。bread crumbsとパン粉とでは品がかなり違うし、最近は日本式のパン粉が海外でも使われ始めているので、Pankoでいいと思う。わさびがWasabi、ガリがGariとして流通しているように。
商品名に続くキャッチコピー、「新鮮パンの作り方」「非揚げもの」は、なんのことだか分からない。さらに裏面を見ると・・・

すてきなコックパン(ずは・・・の「 (  」は平仮名の「く」のつもりなんだろう。クッキングアドバイスに至っては「油揚げの巧みな作り方」とある。パン粉で油揚げが作れるとは知らなんだ。

続いて干ししいたけ。

写真を撮り忘れたけど、包装紙には平仮名で「どんこ」の表記。しかし冬菇には程遠く、一般の干し椎茸より少しは肉厚かな、と思える程度。もちろん風味は本場モノ(日本製)にはかなわない。
袋裏には次のような記述が。

食用方法:
15分清水浸漬、と、最高の材料と
鶏カルビ蒸しする設備が整ってい
るが、きれいに洗うと他の肉料理。

出だしについては「水につけて戻す・・」ところまでは分かるが、そのあとは全く理解不能だ。

まあ、日本の商品でもネイティブには通じない英語の説明文をつけて箔つけてるのか恥かいてるのかよくわからない広告が多いからお互い様なんだけど、ここまでひどいだろうか。
それはともかく、日本語っつうのがひとつのステータスになっていることが分かる。

最後に昆布。

これがとっても楽しい。ブランド名? のチョコボールってのが楽しい。北海道ラミナリン使用というのが楽しい。ラミナリンというのは昆布に含まれる成分だから、使用するとかどうとかの話にはならない。日高産ではありえないのにこのネーミングが楽し・・くはないな。偽装表示だ。商品説明は次のとおり。

ああそうか。これ、昆布じゃなくて「二んぶ」なんだ。ダシをとるには十分だから、昆布じゃなくてもいいや。

さて、おかしな日本語を指摘してきましたが、批判したりバカにする気は毛頭ない。日本で氾濫するでたらめ英語を憂慮するのと同様にナンセンスだからだ。むしろこうした状況は評価すべきだろう。つまり、世界に流通する日本製品の幅が格段に広がり、また、日本製であること、日本的であることが商品ステータスを高めることの証左に他ならないからだ。パッケージに日本語が記載されているだけでいいのだ。どうせガイジンは読めやしないのだから。

イギリスにSuperdryというファッションメーカーがある。2003年設立、現在は世界40か国に店舗を展開する人気ブランドに成長。そのロゴが「極度乾燥しなさい」という日本語。意味をなさない言葉だが、これがカッコイイらしい。いずれにせよ外国人が使う”日本語”、日本人の”なんちゃって英語”に目くじら立てるのは野暮というものだ。