限られた時間に何ができるか
海外旅行は事前の計画段階から楽しいものですよね。行き当たりばったりをモットーにする人もいますが、たいていは限られた時間をできるだけ有効に使うための計画づくりをするのではないでしょうか。フィンランド旅行が初めてなら、やりたいこと、行きたい場所への思いは際限なく広がるでしょう。そこで「大聖堂には〇分。そこからウスペンスキーへの移動時間が〇分。滞在時間が〇分で・・・」といったモデルコースが紹介されたりしますが、ここではそんな具体的なことには触れません。お勧めの訪問先は季節によって変わりますし、なにより個々人の関心はさまざまだからです。細かいプランの提示は項を改めてとりあげることとして、まずは「入れもの」について考えてみます。
「入れもの」。つまり、自由に使える持ち時間・日数のことですね。まさかヘルシンキ到着初日にタリンに行こうとは誰も思わないでしょう。ブツが大きすぎて「入れもの」に入りきりませんから。一方、翌日はストックマンデパートでのんびり買い物、だと「入れもの」にはまだまだ余裕があります。隙間にもう少し何かつめたい、でもナマモノは最後にしたほうがいい、といった具合に悩むわけですが、その時点で旅行は始まっているといえましょう。
実際の持ち時間はどのくらいなのか
3泊5日の少人数プライベートツアー。航空券とホテルはネットで確保。必要に応じてオプションにガイドを頼むかもしれないが、原則としては自力で行動・・・・といったごく標準的なケースで考えてみましょう。4泊6日だと、一日増えるだけで行動範囲はぐっと広がりますが、基本的な考え方は同じです。まず、概要から。
日程
1日目 15時20分 ヘルシンキ着 出国手続きを経て到着ロビーに出るのは16時頃
電車でヘルシンキ市内へ 17時 ホテルチェックイン
これは最短コース。入国に思わぬ時間がかかることもありますので、実際に観光をスタートできるのは18時ごろと考えておいたほうがいいでしょう。
なお、空港で3日間有効の電車・バスチケットを購入しておくとあとが楽です。
2日目 終日フリー
3日目 終日フリー
4日目 成田行きフィンエアーの出発時間は17:20なので、15時半くらいまでには空港に着きたい。逆算すると14時半にヘルシンキ中央駅発の空港行き電車に乗ればOK。ただし、免税払い戻しをする場合には長蛇の列を想定して1時間早めにしたほうが無難。つまり13時半には市内を発つ。その場合、おおむね13時まではフリー。
こうしてみると、朝から晩まで、丸々一日を観光に費やせるのは2日。初日はホテルチェックイン後の数時間、帰国日はおおむね午後1時くらいまでが自由時間となります。これで「いれもの」の大まかなサイズは分かったので、続いて詳細な時間割を例示します。バックパックのサブポケットや雨蓋の容量を確認するようなものです。どこに何を入れるか、もう少し入るぞ、と考える段階となります。
なお、上記の例示時刻は成田往復のフィンエアーを基にしたものです。現在、日本からヘルシンキへの直行便は成田・大阪・名古屋・福岡の4空港からフィンエアーとJALが運航しており、それぞれの出発時刻が微妙に異なるので、利用空港、飛行機会社に応じて1時間前後の補正をしてください。
旅行時期・曜日によっての工夫が必要に
1日目
長旅で疲れているでしょうし、時間的な余裕も少ないのでホテル周囲の散策にとどまるでしょう。なにより、観光スポットやお店自体が閉まっています。夏場ならいつまでも明るい夜の街を歩いてもよいでしょうが、冬場は空港到着時点で陽が沈んでいるので行動も制限されます。空港で購入した3日間有効のトラベルカードを利用して、ちょっとトラムに乗って中央駅やバスターミナルなど、街のランドマークを確かめておくと翌日以降の移動が楽になります。平日なら夜9時まで開いているストックマンデパートで総菜を買うのもいいかも。
2日目・3日目
フィンランド旅行のどこに重点を置くかによって内容は様々ですが、市内観光がメインなら「なんでも入る」といった状態。市内の定番観光地はもちろん、滞在時間が読めないアンティークショップやカフェなどでも、時間を気にせず過ごすことができます。場合によっては丸一日をタリンで過ごすのも良し。そのほか正味5~6時間で楽しめる地方都市も少なくありません。両日を市内観光にあてるなら、よほど特別なプランがない限りはすべて賄えるはずです。
4日目
帰国日を有効に使うには、早めにチェックアウトします。遅くとも9時。荷物はホテルに預け、1時ごろ戻る。空港での税金払い戻し手続きがないなら、2時戻りでも十分。前日までに逃した場所にも余裕で行けます。あるいはポルヴォーやヌークシオなど、ヘルシンキ近郊の小旅行ならすべての荷物を持って出かけ、観光地から直接空港に向かう手もあります。ただし、その日程でヌークシオに行く場合にはツアーを利用することになるでしょう。
3泊5日。終日自由時間は2日なのに、なぜタリンやら地方都市旅行を組み込んでいるのかというと、旅行の季節や曜日によってそうしたほうが良い場合があるからです。春から初秋にかけての平日に旅行するなら滞在の全時間をヘルシンキに集中するのもよいでしょう。しかし到着2~3日目が休日・祝日にあたると「どこにも入れなかった」ということになってもおかしくありません。夏至祭やクリスマスなどは旅行日程を決める時点で想定できますが、日本ではなじみのない「隠れ祝日」と呼べるような日(昇天祭、諸聖人の日など)がありますので、思わぬ制約を受ける可能性があります。フィンランドに着いてから気づいたら、思い切って小旅行に出かけるのも一つの手です。
以上が3泊5日旅行の実質的な持ち時間です。ここに何を入れていくかを悩むのが旅行プランの楽しさですね。
ウクライナ侵攻の影響
ロシア上空を飛べなくなった現在、日本⇔フィンランドのフライトスケジュールが大きく変わっています。そのため3泊5日という行程はとれず、「3泊6日(もしくは4泊7日等)」になります。ここでいう「3泊6日」というのはホテル3泊、機内泊2回で、あしかけ暦日6日ということ。
就航時間は片道3時間ほど伸びましたが、日程(実質の旅行期間)に限っていえば、従来より好条件といえるかもしれません。2日目から4日までの3日間は観光に丸々あてられるからです。2日目、つまりフィンランド到着日の疲労度は考慮しなければなりませんが。
フィンエアー成田発のスケジュールは以下のようになります。
1日目 23:05 出国
2日目 4:55 ヘルシンキ空港着 終日フリー
3日目 終日フリー
4日目 終日フリー
5日目 17:45(帰国便)13:00くらいまでフリー
6日目 14:05 成田着
羽田発もしくはJALのスケジュールも上記に準じます。