事前登録が必要だが、シティバイクは観光客でも使える

ヨーロッパやアメリカでは廉価で公共自転車をレンタルできるシティ・バイクなるシステムが珍しくなく、フィンランドにもある。今のところヘルシンキ・エスポー・ヴァンターの三地域、首都圏周辺に限られるので、「ヘルシンキにはシティ・バイクがある」と言ったほうが正しいかもしれないが。

その歴史は2000年にさかのぼる。緑の車体に黄色いディスクホイール(正確にはスポークカバー)という派手な外観が真夏の風景によく溶け込んでいた。1ユーロコインをカギ穴に入れると鎖が外れて使用可能に。返却時に鎖を差し込むとコインは返却されるしくみで、実質的には無料だった。しかしこれ、タイヤがゴムのかたまり(中空チューブを使っていない)なので、乗り心地は悪かった。したがって、石畳に乗り上げると衝撃がもろに伝わってくるし、長距離のサイクリングにも向かない。が、他人がこれで市内観光しているのを見るのは微笑ましく、夏場の風物詩の一つだった。

しか~し。相次ぐ盗難や故障による損害が大きく、このサービスは2010年に終了。こんなもの盗んでどうするんだという気もするが、そうしたいたづらをする奴はどこにでもいるもんだ。サービス終了後もシティバイクの復活を望む声は強く、毎年のように再開の噂が流れ、実現に及ばずという事態を繰り返してきた。

2010年までのモデル。エスプラナーでにて

そうした中、利用者のIDを事前登録し、電子支払い方式とするなどのシステムを確立し、2016年に復活。車両も一新してチューブ入りのタイヤを採用、乗り心地も改善された。長距離サイクリングにも対応できそうだ。

基本料金は1日5ユーロだが、シーズン有効券(約7か月)は30ユーロなので、これを購入すれば一月4ユーロ程度の負担。ほとんどただみたいなもんだ。一

本記事はシティバイクの使い方説明は目的としていないので、関心のある人は次のサイトを参照してほしい。

また、今年からキックスケーターのレンタルも開始。シティバイクは所定のステーションで借り、返却もまたステーション(別の場所で構わないのは当然)に限られるが、キックバイクはそうではない。一定の置き場はあるものの、返却はどこでもいい。街を歩いてると、あら、こんなところにキックスケーターが「捨ててある」と思うことがあるほど。これは便利だが、逆に言うと、どこで借りられるか分からないというデメリットでもある。