世の中ってこんなに甘いのね
監督 Dome Karukoski
製作 2005年 96分 K12
出演
Pamela Tola (Nelli)
Samuli Vauramo (Sune)
Joonas Saartamo (Kondis)
Eero Milonoff (Isukki)
Jussi Nikkilä (Mikko)
フィンランドの映画専門誌”Episodi”が行なった国内映画の歴代人気投票で4位。公開年である2005年のノルウェー国際映画フェスティバルでは北欧最高の作品としてAmanda賞を受賞。同年のベルリン国際映画際ではフィンランド唯一のノミネート作品。と、世間的な評価は高く、もちろん一般にも非常に人気がある。主演男優のSamuli Vauramoは寡黙な好青年タイプで好演。2008年公開の「Käsky(4月の涙)」でもいい役を演じてます。
歌の”うまい”美少女ネッリ(Nelli)が、なかなか芽が出ないラッパーのスネ(Sune)に出会い、紆余曲折あって念願のCDデビュー。その間に若者特有の悩みあり恋あり友情あり、とアリがちな展開を経て、ほぼ予想通りの終末を迎える。t.a.t.u.の映画、You and Iのスケールをうんと小さくしたような感じかな。若者が共感を寄せるのはわかるが、女主人公のへたくそな歌や特色のないラップを延々と聞かせられるのが退屈だ。ラップが好きならこれサイコー、ってことになるんだろうが。
そんなわけで映画で夢を見たい人、フィンランドの若者文化に触れたい人にはお勧めじゃあないでしょうか。なお、挿入歌は全編を通じてワタクシの趣味ではないが、MariskaのDiiliが突然流れたときには気を引かれた。彼女の作品としてはたいしたものじゃないし、20秒くらいの挿入だけど、やはり個性的だな。彼女の歌はすぐにわかる。
ところで本作の英語タイトルはBeauty and the Bastard。「美女と野獣」をもじったのだろうが、「美女とゴロツキ」もしくは「ろくでなし」ってニュアンスか。原題は「少女よ、君はスターだ」だから、まるで違う。主人公はゴロツキってわけじゃないし。洋画の邦題が「そりゃないでしょ」とけなされることがあるけど、外国でも同じようなもんなのね。本作の英語字幕もかなりいいかげんだし。ま、これは蛇足。
主演のパメラ・トラ。本作公開の2005年には3本の映画に出演。当時24歳。現在は監督業も務める。この女性が魅力的に思うなら映画も見ればいいんじゃない?