ある種のマニアにはたまらない魅力にあふれた場所:パロラ

歴史認識と知性が問われる戦車博物館

フィンランド人にも人気の高いBT42。その理由は日本のアニメにある。

フィンランドの近代史は面白い。ロシア革命の前夜から1917年の独立。ソビエトとの緊張関係が高まる中で第二次世界大戦(フィンランドでは「冬戦争」と「継続戦争」という)の勃発。終戦から講和、そして戦後の発展。面白いというと語弊があるが、「興味深い」なんて当たり障りのない言葉だと実感にそぐわない。どうせここは「当たり障りのある」場所なので、正直にいこう。

その面白さは第二次世界大戦がピークだ。フィンランドには戦争の名残をとどめる場所が全国にあるが、観光を兼ねて楽しむ・味わうならここがおすすめ。それがパロラ戦車博物館。フィンランド語だとPanssarimuseo=戦車博物館というが、日本ではパロラ~と紹介されることが多いようなので、それを継承する。もっとも、「通」は戦車博物館と呼称しているかもしれない。で、この博物館。ハメーンリンナからバスで30分くらい。ヘルシンキ→ハメーンリンナが電車で1時間だから、市内観光を含めても日帰りで十分余裕の行程。ハメーンリンナの観光といえば、まずは古城を訪れ、時間に余裕があるなら近隣の人工公園・アウランコに足を伸ばすというのが定番だが、ある種のマニアは「まずパロラ」。続いてハメ城の砲兵博物館に向かう。そう、ある種のマニアとは「軍事オタク」のことである。

これはもう、たまりませんね。

軍事オタクの人々というのは面白くて、とにかく知識が半端ではない。あれがどうしてこうなって、と「なんでそんなことまで知ってるんだ」「そんなことを知っていて何の意味があるんだ」と思えるようなことまで知っている。非常に勉強になる。私は軍事オタクではないが、ある種の憧れをもっているのだ。また、オタクの人々がこういう場所に来ると共通した表情を浮かべる。笑顔満面。楽しくてしょうがないといった様相。そうするとガイドとしても嬉しく・楽しくなってくるのです。

パロラ戦争博物館への行き方は駅からバスに乗ればいいだけなので単純ではあるが、まずバス停が分かりづらい、運行は一時間に一本といった不便さがある。この後、ハメ城や市内観光を組み合わせるならツアーに参加したほうがいいかもしれない。なにしろ、博物館前の停留所はこんな所(写真下)ですから。

敷地内には3つの建物があり、一つは前線を模して迫撃砲を設置したもの。いわばイントロ。続いて受付を兼ねた第一展示館と、さらに大きな第二展示館がある。展示物は当然ながら戦車が主流だが、軍服や小型火器、プラモデル(田宮製)を使ったジオラマなども楽しい。さらに屋外には戦車が野ざらし(注)。戦車内に入ったり、車体に乗ることが許されているものもある。ハメ城の写真もついでに載せておこう。


朝9時にヘルシンキを出ても一部にタクシーを使えば、パロラ戦車博物館、ハメ城、市内観光、ランチを含んだゆったりペースでも午後5時に戻れる。

(注)野外展示されていた戦車群には2018年より屋根がかけられた。

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