これだけでもご飯はすすむ
白菜の漬物をつくろう
白菜は株からちぎって塩を振り、ボウルなどにいれて重石を乗せて1~2日放置。その前に半日くらい天日干ししておくと甘みが増すけど、天候次第だ。しんなりしたら酢・みりん(なければ砂糖)・だし汁(顆粒も可)、昆布を合わせる。ニンニクやトウガラシの輪切り、あるいはレモン汁を加えて味に変化を出すのもよい。昆布は中華食材店での入手になるが、なくたってかまわない。その他の材料はすべてスーパーでそろう。簡易漬物器があると非常に便利だが、こればかりは日本で買うしかない。とはいえ、必需品でもない。
以上、漬物作りは非常に簡単なので、白菜の漬物に関する思い出をつづる。
80年代前半のことだと思うが、北朝鮮の農民を扱った“ドキュメンタリー”をテレビで見た。どうも「地上の楽園」ではないらしい、と気づき始めたころだが、拉致事件は一般には知られていなかったし、大韓航空爆破事件よりもだいぶ前なので、日本人は北朝鮮に対する幻想を引き釣っていた。
いろんな内容があったと思うが、はっきり覚えているのは食事に関する一場面だけ。長さにして2~3分といったところか。
番組で映されていたのは貧しい農家の中年男性。ろくに食べるものはないが、米だけはある。それに加えて倉庫には大量の白菜。米と白菜は十分に自作できるという設定だ。漬物にした白菜(簡易キムチ)が唯一のおかず。農民曰く。
「ごはんと白菜があれば満足です。こうした食事ができるのも首領様のおかげです」とかなんやら。
番組がお膳立てなのは間違いないが、ある程度は事実だったのではないか。対外的プロパガンダにするなら、食事内容をもう少し豊かにしてもよかっただろう。肉や魚が盛りだくさんだと明らかなウソになるが、キノコや山菜、あるいは稀に鶏卵が食卓に上る・・といった演出ならむしろ説得力があったのではないか。
それとも当時の北朝鮮では「米と白菜」ですら贅沢で、全国万人がこうした食事のできることが夢だったのだろうか。
同番組をよく覚えているもう一つの理由。確かに「米と白菜」で立派な食事になることに気づいたからだ。毎食すべてがそれだけなら栄養失調になってしまうが、週に一~二度なら粗食の滋味が身に染みるかもしれない。さらには食料が途絶え、とにかく空腹を満たさねばならない状況になったら、米・白菜・塩でかなりの期間を乗り越えられるだろうという妄想は現在にも続く。
そういうわけで、白菜の漬物は非常に大切。できあいのピクルスじゃ和食にならない、と書こうと思ったが、待てよ。工夫次第で面白くなるかも。課題にしよう。