米にはとことんこだわりたい

スーパー和食にはRainbow社のおかゆ米できまり

これは旧パッケージ。使い心地もよかった。

「日本人の主食は米」という説には議論の余地もあるが、米が日本食の大切な要素であることはまちがいない。日本の料理は「米をおいしく食べる」ことを目的としていると言ってもいいだろう。

そういうわけで、フィンランドにいても米にはこだわりたい。スーパーで手軽に買えるジャポニカ米は4種類くらいあるけど断言しよう。Rainbow社のプーロリーシ(puuroriisi)が絶対のおすすめ。プーロリーシというのは「おかゆ(用の)米」を意味するフィンランド語で、品種としてはジャポニカ米にあたる。インディカ米(タイ米、ジャスミン米ともいう)のフィンランド語はpitkäjyväriisi(胚芽の長い米)で、その名のとおりに細長いので見れば判別できる。

Rainbow製品がなぜおすすめかというと、一番安いのである。味? そんなの全部同じだから。いずれもイタリアもしくはスペインの古米もしくは古古米、あるいは古古古米。そんな製品に味の差があってたまるか。

新包装のジャポニカ2種。実はK製品も同価格だが、これを扱う店にはあまり行かないので却下。

選択基準はもうひとつある。実は10年くらい前まではRisellaというメーカーの製品を常食していた。特別な理由があったわけではなく、単に習慣となっていただけ。しかし、Pitkä kuuma kesä(1999年)という映画を見て考え直した。同作品で出演者の一人がつぶやく「リセラはフィンランドで一番人気~」というセリフが気になったのだ。このフレーズはリセラの昔のコマーシャルソングなのだが、重要なことを伝えている。「フィンランド人に一番人気なら、うまいわけないじゃないか」という単純な事実である。

さて、Rainbowのプーロリーシ。1キロ1.15ユーロ。150円弱だから非常に安いと思うだろうが、2000年4月までは95セント、120円だった。たかが30円の違いなんだけど、一気に2割の値上げと考えると驚いても不思議はない。
なお、Risella製品はスペイン製で1.9ユーロ。無駄に高い。

一番人気のはずだが、レインボー製品が売り切れ勝ちなのに対し、残っていることが多い。写真のX印はシナモンスティック。

さて、フィンランドの米、正確にはイタリア米だが、決してまずくはない。日本産のそれに比べるとわずかに小粒なようだが気になるほどではない。しかし古米ゆえ乾燥の度合いが強いので、うまく炊くには若干のコツも必要だ。といっても浸水の時間を長めにとる、水の量は炊飯器推奨の1.2倍くらいにする、という程度のこと。2~3回失敗すれば習得できるはず。ただしこれはマイコン制御の炊飯器を使う場合のこと。鍋で炊く場合にはもう少し高度な技術も求められる。フィンランドの調理設備の事情によるので、また別の機会に記す予定。

ついでにその他の米についても簡単に触れておこう。
ジャポニカ米でもRisella製が高いことは先述したが、さらにとんでもない値段をつけている商品もある。sushiriisiである。なにそれ? スシリーシ。寿司米って意味ね。なんだいそれ。寿司に適した米という品種はあるし、板前は各種をまぜて独自の寿司米を調合することはあるが、そんなものが日本で商品になることはない。ところがフィンランドにはあるのですよ。寿司米=酢飯と説明するレシピサイトもあるけど、ここで言ってるのは商品名のこと。おそらくヨーロッパ一帯で流通してるんだろう。サムライリーシなんてのもあって、商品パッケージにはちょんまげを結った侍の絵が使われてたりする。値段は様々だけど、キロ当たり10ユーロを超えるものもある。新潟産コシヒカリの3倍近い。もちろんこれもスペイン産なので味、食感に特別なものはない。ガイジンの購買欲をそそるネーミングの勝利。おのれは難波の商人かい。

最後にインディカ米。日本米にくらべて細長い品種でタイ米、ジャスミンライス、バスマティの名称がある。さらにこれらは胚芽米も普通のスーパーで売っている。商品棚に並ぶ米の品種としては日本より豊富だ。
インディカ米を嫌う日本人もいますよね。1993年の平成米騒動にはいろんなエピソードがありましたな。その気持ちは分かるけど両者は別物と考えるべき。料理によってはインディカ米でなければ出せない味もあるので、それもまたいずれ紹介する。おっと、スーパー和食じゃなくなっちゃうけど、ま、いいや。

*2023年9月現在、同製品は2ユーロ弱に。ロシアのウクライナ侵攻直後に食料品が一斉に値上げされた。500gのコーヒーも3.5ユーロから6ユーロに。