土に植えるだけでこれほど味が変わるのか
フィンランドで入手できる日本の食材に制限があるのは当然だが、同じものであるはずの材料にも大きな違いがある。
たとえば肉類だと脂身の多いものはないし、すき焼きに向くような薄切りもない。魚の種類は極めて少ないし、生の貝などはごく限られた時期に牡蛎と青貝が一定の店に並ぶだけだ。
ないものはしょうがないのだが、日本の野菜を恋しく思うとは予想しなかった。名前は同じでも、見た目や味がまるで異なるので、かつて食していたものとの違いに驚いたのである。ほうれん草、ねぎ、トマト、ナス、キュウリ、キャベツなど、全然違う。日本産との差がめだたないのは玉ねぎ、じゃがいも、人参くらいなものかな。

全くかわいげのないナス
調理方法が異なるので、それぞれに優劣はつけられないが、フィンランドの野菜は味に根性がないんだよね。葉っぱ系は水っぽいのばっかり。滋味というものがない。水栽培がメインだからだろう。
そこで野菜は庭先で栽培するのだ。かといって種やら苗やらを植えるわけではない。そういうめんどくさいことはスーパー和食の精神に合わないのだ。ここでの栽培というのは、スーパーで買ってきた野菜を直植えするだけ。あらかた食べつくして、根本の部分を活用する。

手前はレタス2種。後列左はディル、右が人参
レタス、あさつき(のようなもの)、パセリは間違いなく再生する。収穫には3~4週間かかるので、ローテーションを組む。で、これが美味しい。やはり土で育てると味に大きな差が出るね。レタスやネギ類(kevätsipuli,vihersipuli)は特に味わいが増す。先代はスーパーで売られていたものなのに・・・と感慨深い。
また、レタスなどは食用部分の葉を取っても、根を残しておけば何回も再生する。
このほか、玉ねぎ・にんじん・にんにくなどは室内で水栽培して根を出してから土に植えるなんてこともする。玉ねぎ(等)を収穫しようというわけではなく、葉を使うのが目的。味噌汁類の具にしたり、野菜炒めに混ぜたりすると味覚が向上する。
ただ残念ながら屋外栽培ができるのは6~9月中旬くらいまで。パセリはもう少し長く収穫できるけど、そのほかは寒さに負けちゃう。5月ならあったかいんじゃないの? と思うだろうが、その頃だとなぜか根付きの野菜は出回ってないのよ。そんでまたやっぱり9月ころにはなくなっちゃう。そういうわけで路地モノ栽培は野菜が根付きで売られている数か月のお楽しみなのだ。

大根の葉がまたおいしい