コロナ渦中の日本⇔フィンランドⅡ

~日本入国編~

おお、懐かしの成田空港。2年ぶり

日本到着は予定より早い8:50。ハイヤーの予約が12:30だから、そんなに早く着かなくてもいいのになあ。飛行機を降りると、一般客とオリンピック関係者の仕分けが行われた。我々はこの後、いくつもの関門を通らなければならないのである。その後の流れは以下の通り。番号ごとに実施場所が異なる。

関門は多いが、スムーズに進む

簡単な質問票。クリックで一部拡大

1 健康状態を用紙に書き込む 9:15

飛行機を降りてすぐ、三叉路になった通路でオリンピック関係者は右手を素通り、我々はパイプ椅子に座らされて質問票に記載。どこから来たか、健康異常はないか、などを書き込む。

また、この裏面には入国後14日間の義務(規制)が11項目にわたって記されている。自宅待機、公共交通機関の利用自粛、マスク着用等。キモはアプリを通じた滞在地の報告だが、その詳細は次回に譲る。いずれも「協力へのお願い」である。

2 1の確認 問診

すぐそばの別室に移り、質問票を確認。係員に口頭で答える。併せて「誓約書」の提出。住所・氏名・メアド・緊急連絡先などの個人情報や空港からの移動方法を記すほか、14日間の待機期間の行動規制およびそれに違反した場合には氏名公表という罰則が適用されることに同意する旨を誓約する。

3 所在場所確認などのアプリをスマホにインストール

滞在場所等を確認するMySOS、コロナ陽性者との接触がわかるというCocoa、二つのアプリを自前のスマホにインストールされる。この時点で直感的にその実効性に疑いを覚えた。のちにその疑問は的中。

赤いアイコン、MySOSがこれから2週間あなたを悩ませる

4 唾液採取

PCR検査。小さな個別ブースで唾液を試験管に吐き出す。へたくそなレモンの線画が掲げらている。「すっぱいものを思い浮かべて唾液を出せ」という趣旨だろうが、まるで効果なし。

5 インストールアプリの設定。

3でインストールしたアプリを専門官が設定する。常時起動、通知音も常にONにしておくように、との指示。このあたりから「よく分かんない」という人が出てきてもおかしくなかろう。

あるいは「スマホ持ってないんですけどぉ」なんて。その場合、自費でスマホをレンタルしなければならないことになっているが、この場所(入国前)でレンタルなぞできんがな。

6 質問票ダウンロード

「出国前にダウンロードして入国後提示」が基本らしいが、そんなこと知らんかった。他の乗客はほとんどみんな用意していたもよう。事前に準備していれば、6番の別室に行くことはなく、7番に進む。

7 上記質問票の確認

質問票をダウンロード、回答して提示した後は再確認できないので内容は忘れた。1番と同じ内容をデジタル化しただけのものだったと思う。

これは見落としていた。しかし実害はほぼ皆無

8 唾液検査結果の通知

唾液採取後30分ほどで結果が出た。陰性を告げられ10:24終了。

9 入国審査

パスポートチェックを待つ旅行者は私を含めて3人しかおらず、窓口はガラガラ。いつのも行列がなかったので、どこに並べばよいのかしばし迷う。降機からここまで、いくつもの小部屋を通り抜けてきたが、旅行者が通常たどるようなコースではなかった。空港内施設の広大さに改めて気づく。

10 荷物を受け取るためターンテーブルへ。すでに荷物は床に置かれており、10時40分には外に出た。

さて、入国後は空港から待機場所への移動に公共交通機関(電車・バス・タクシー)は使ってはいけないのがオフィシャル・ルール。つまり待機場所への移動には①誰かの自家用車で迎えに来てもらう、②レンタカーを借りる、③専用のハイヤーを事前に手配しておく、の3通りから選ばなければならない。そして入国時には移動方法を聞かれ、出迎え者(ハイヤー含む)の連絡先を確認されることになっている。しかし、そんな手続きはなかった。あれ? それじゃあ・・。

電車利用を阻止する術はない

拍子抜けはまだ続く。

私のハイヤー予約時間は12時半。まだ2時間近くあるので、ちょっと調べてみることにした。まずは京成電車のホームへ。「おいおい、どこ行くんだ!」というお咎めがあるのではないかと期待していたのだが、そんな気配はまるでない。数は少ないながらも、改札を抜けてプラットホームに降りていく人もいるではないか。それでいいのか、と駅員に聞いてみると、「私たちは利用回避のお願いをしているだけですから」との答え。大きなスーツケースを転がしている人を見ても、駅員に電車利用を引き留める権限はないわけだ。

構内を警備している警官にも尋ねてみる。今度はジャーナリストIDを提示して「公的」な取材を装う。「職務が違うから」ということで、たとえ海外からの渡航者であることがあきらかでも、彼らが阻止することはないようだ。確かに警官の職務は「事件」を収拾することにあるから、当然なのだろうなあ。

ついでにタクシー運転手にも質問。「まあ、成田には国内便も飛んでますから」との答え。ああそうか。運転手が客にどこから来たかを尋ね、海外からの渡航者の乗車は拒否する、ということはないのだろう。実際、コロナのインド株が騒がれていたころ、インドからの帰国者を乗せていたというタクシー運転手の報告もあったしなあ。

ハイヤーの予約時間まで、まだ1時間ほどある。入国ゲート付近に座っていたら、今、外国から戻ってきた旅行者の会話が聞こえてきた。

「電車、乗れないんだよねぇ。でも迎えに来てくれる人なんていないしぃ~」。彼女が電車を使ったことはまず間違いない。

東京駅に住んでいる人がいるのだろうか

ようやく訪れたハイヤーに乗り込み、雑談を交わす。「儲かりまっか」「ボチボチでんな」といった軽口から始め、いろいろなことが聞けた。

まず、ハイヤーの待ち合わせ時間。出国前の情報では、日本入国から各種の関門を通り抜けるのに3~4時間かかると聞いていた。そのため待ち合わせ時間を到着予定時刻の3時間後にしたわけだ。予定時刻の2時間過ぎまでは追加料金がかからないという「帰国者プラン」を利用したので、入国の各種検査が多少長引いても余裕だろう、という設定。私の場合、予想外に諸手続きが早く進み、飛行機着陸から空港外に出るまで2時間ほどで済んだが、その運転手によると7時間かかったこともあるそうだ。

また、客を実際にどこまで乗せているのかも知りたいことだった。成田に降りても、その先の国内便への乗り継ぎはできないから、海外からの直行便が飛んでいる国際空港を持つ地域から離れた場所への移動はハイヤー利用が必須といえよう。この運転手は「山形まで送ったことがある」という。具体的な費用は明かさなかったが、成田からだと15万円くらいかかるのではないだろうか。

いっぽう、東京駅までの利用というのは何回かあったそうだ。これは私も一瞬考えたこと。成田空港での電車利用が強硬排除されることを想定し、たとえば空港から京成成田までハイヤー利用。そのあとは何食わぬ顔をして電車に乗ろう、という作戦である。

もちろんそれはそんなこともできるだろうなあ、と考えただけだが、実行している人もいることを知った。ハイヤー会社は予約を受ける際、送り先が客の自宅なりホテルなり、待機場所にふさわしいことを確認するのかと思っていた。それなのに成田空港から東京駅へ。その後は電車利用が明らかなケースでも、断ることはないのですね。

さて私の利用経路は空港から埼玉県の某市。約80キロを1時間半弱で走破。高速利用で4万円ちょい。タクシーの普通料金が3万6000円と例示されているHPもあったので、相対的には安いといえよう。電車なら1500円くらいだけど。

おまけ

空港到着直後、ソフトバンクのプリペイドSIMを購入。スマホなんてなくてもいいんだが、強制インストールアプリを動かす都合上、国内ネット環境を整えていなければならないのだ。これが5600円。あれ、ネット価格は3800円じゃなかったかな? 興味がないのでよく調べなかった私が悪いのだが、実際には若干お安めのキャリアがいくつもありますね。

日本滞在編に続く

出国編はこちら

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