40年の映画人生を振り返る
フィンランドを代表する映画監督かどうかはさておき、熱烈なファンも多いアキ・カウリスマキ監督。かれこれ40年の映画人生を振り返り、これまでの作品リストをまとめておこう。これ以外にも短編は何作かある。
90年代なかばまでは年に2作も撮影するほどに精力的だったが、その後制作ペースが落ち、過去10年では2作しか撮っていない。今後はどうなるのだろうか。
タイトルが太青地の作品名をクリックすると解説ページに飛びます。
Rikos ja rangaistus, 1983 罪と罰
実質的なデビュー作
Calamari Union, 1985 カラマリ・ユニオン
モノクロ描写が美しい
Varjoja paratiisissa, 1986 パラダイスの夕暮れ ①
マッティ・ペロンパーとカティ・オウティネンが初共演
Hamlet liikemaailmassa, 1987 ハムレット・ゴーズ・ビジネス
ドストエフスキーに続き、シェイクスピアも題材に
Ariel, 1988 真夜中の虹 ②
カウリスマキの世界が確固としたものに
Likaiset kädet, 1989 (TV番組)
唯一のTV映画。サルトルの戯曲「Les Mains sales」に基づく
Leningrad Cowboys Go America, 1989
悪ふざけが世界的に受け入れられた
Tulitikkutehtaan tyttö, 1990 マッチ工場の少女 ③
実際にありそうな話
I Hired a Contract Killer, 1990 コントラクト・キラー
全編ロンドンロケなれど、世界観は共通
Boheemielämää, 1992 ラヴィ・ド・ボエーム
パリで撮影されたモノクロ作品
Pidä huivista kiinni, Tatjana, 1994 愛しのタチアナ
最後のムチャクチャな誤訳を何とかしてほしい。
Leningrad Cowboys Meet Moses, 1994 レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う
こいつらはまだ生きていたのか。ペロンパーの遺作
Kauas pilvet karkaavat, 1996 浮き雲 ①
ハッピーエンドが明らかなのはこれが一番かな
Juha, 1999 白い花びら
またもモノクロ、しかもサイレント
Mies vailla menneisyyttä, 2002 過去のない男 ②
フィンランド人がみんな彼のように無口ならいいのに
Laitakaupungin valot, 2006 街のあかり ③
どん底生活の最後に希望の光がほのかにさす
Le Havre, 2011 ル・アーヴルの靴みがき
これはやがて「移民三部作」とまとめられるのだろうか
Toivon tuolla puolen, 2017 希望のかなた
これが果たして“日本びいき”の根拠になるのか
なお、タイトルのあとに①~③とあるのは「労働者三部作」といわれるもの。フィンランド語のTyöläistrilogiaを直訳したものなので問題ない。が、①~③が「敗者三部作」だなんてあんまりだ。原語ではSuomi-trilogia。「フィンランド三部作」だぞ。