Naisenkuvia:一般映画館で上映されたポルノ映画のはしり

50年前の衝撃作も、いまとなっては・・・

監督 Jörn Donner
製作 1970年 K16 88分
出演
Ritva Vepsä    (Saara Salminen)
Jörn Donner   (Pertti ‘Pertsa’,)
Kirsti Wallasvaara  (Liisa)
Aarre Elo  (Jussi)
Marianne Holmström  (Ulla)

フィンランドで唯一のオスカー受賞者、ヨルン・ドンネルが性タブーに挑戦した話題作! 前年(69年)に始まるエロチックシリーズの一作だ。しかし。

ヨルン監督自身がアメリカ帰りのポルノ映画監督を演じ、フィンランドでエロ映画づくりに取り組む過程を描く。セックスシーンが随所に登場するが、今となってはなんの新鮮味もないものばかり。「それ」を思わせるイメージシーンも多い。が、その一方で70年当時のフィンランドのモラルがどうであったかをうかがい知れる。本作品はフィンランド社会に大きな影響を与えたそうだから。というのは、本作はポルノ映画もしくは現在のAVのカテゴリーではなく、一般映画として公開されたからだ。普段は子供用映画が上映される映画館にかかり、長蛇の列ができたという。デンマークやスウェーデンでいわゆる「ポルノ解禁」が行なわれた時期にほぼ重なる。

こんなシーンもエロチック

この人騒がせな映画に眉をひそめた人もおおく、映倫(のようなもの?)にお叱りをうけ、興行収入の3割が罰金として徴収されたらしい。

だが、今となっては資料的価値しかない。ジャンルとしてはコメディらしいが、はっきりとしたストーリーがあるわけじゃないし、笑えるシーンもない。丸裸で演技するヨルン監督のモチモノがご立派、という評価がいまだに与えられるが、そんなもの見せられてもなあ。

こんなシーンもあるけれど、健康的な感じ

原題のNaisenkuviaというのは「女性の写真」。英語タイトルだとPortraits of women. 60年代後半に話題となった「私は好奇心の強い女」に似て、女性に焦点をあてるのが趣旨だったのだろうか。

また、短時間ながら映るヘルシンキの町並みは現在とはまるで異なり、そうした面とともにフィンランドの今昔を垣間見るにはいいのかも。

なお、ヨルン・ドンネルがオスカーを受賞したのはFanny och Alexander(1982年)の製作者として。同作品の監督はスウェーデンのIngmar Bergman。ヨルンは同氏のドキュメントフィルムも作成している。