~日本滞在編~
14日間の自宅待機期間には様々な制限があるが・・・
厚労省、外務省および在F日本大使館のサイト等で日本入国時の水際対策——は確認していたので入国手続きはスムーズに進んだ。海外から日本への入国手順を以下にまとめておく。
1.出国72時間前までにPCR検査を受ける。
2.厚生労働省作成の陰性証明書に医師の署名・捺印を受ける。
3.空港から自宅(等、待機場所)への交通手段を確保しておく(ハイヤー、レンタカーなど)。
4.降機後、体調申告やPCR検査、必要アプリのインストールなどを行う。これらは検疫官の指示に従えばいいので、事前準備は不要。ただし、スマホ必須。
5.日本への入国条件ではないが、コロナワクチンを2回接種しておくと、フィンランドに戻る際の手続きがスムーズに進む。
水際対策に実効性はあるのか?
さて、出国前の胃が痛むような不安とは裏腹に入国手続きはあっけなく終わった。こんなことでいいのか? というのが素朴な印象。電車乗ってるやつもいるし。
私はこれから14日間は自宅待機だ。その間の順守事項は11項目。入国時に手渡された問診票(入国編冒頭に掲載)の裏に細かく記載されているが、あくまでも「ご協力のお願い」であることがうたわれている。強制力はないのか? そもそもこんなものをみんな読むのか?
ハイヤーを待つ間、スマホにインストールされたアプリ(MySOS)を試してみる。こんな画面が出てきたので「待機場所設定(右側)」のアイコンをタッチ。すると「本日の滞在先は成田市周辺」という間抜けな結果に。空港の住所が自動的に入力されてしまった。ここで手動入力するものと思ったのに。と、いうことは・・・またまた疑問が生じた。その疑問はとりあえず伏せておく。というのは、アレをナニするとこうなるのか、じゃあソレをアレするとああなるのでは? といろいろ思いついたからだ。その内容は・・・今後もあえて曖昧な記述にとどめることにする。これらを詳細に記すと悪用を助長しかねないためだ。
そうした疑念こそ制度の不備に他ならず、明らかにすべきかもしれないが、当局に改善の意思・余裕がなさそうなので、後日あらためて考えることにしよう。
MySOS、実際の運用
自宅(待機場所)に着き、あらためてMySOSを起動。待機場所登録のアイコンに触れ、現在地を申告。即座に「本日の待機場所は○○市周辺です」の返信。これから14日間、この情報に基づいて当局からの連絡が来ることになる。
なお、この「14日間」というのは入国日翌日から起算する。わかりやすくいうと、7月31日に入国した場合、8月1日から14日までが自宅(等)での待期期間。出歩いたり公共交通機関を利用できるのは8月15日からとなる。
私のように早朝(9時前)に入国した場合、丸一日損するようなものだが、夕刻~夜着の人もいるだろうことを考えるとやむを得まい。法律とはそういうものだ。
で、本日は待機場所を登録しただけ。当局からの連絡はなかった。
入国2日目の15:30。当局より初めての連絡。AI通信なのか、ビデオ通話がかかり、私の顔とともに現在地が分かるように映せとのお達し。初回サービスとして室内360度を映してあげた。そんなことする必要はなかったな。30秒で自動的に切れる。
その後しばらくして現在地の報告要請が来た。初期画面の左アイコンをタッチ。続いて「健康状態」を知らせよ、と。真ん中のアイコンをタッチすると、次のような画面が現れる。発熱があるか、体に異常はあるか、という問い。当然「いいえ」を押して発信。
入国2日目(待期期間初日)のやりとりは以上。
その後は1日3~5回の連絡要請
翌日はあらたなヴァリエーションが追加。朝から順を追って記そう。
まず早朝8時。「位置情報を入力してください」との通知が来る。これはMySOS初期画面の左アイコンに触れるだけでOK.。しかし、こんな早くに連絡するなよ。二日酔いで寝てるんだから。
11:00。健康状態報告の要請。「毎日11:00から14:00の間に報告せよ」という注意書きがあった。当然、「異常なし」で発信。
16:00 新しい接触があった。有人のビデオ通話。事前登録した場所にいることを確認され、数秒で終了。こちらの画像は送られているが、相手の顔は見えないというもの。私は気にしないが、一人暮らしの女性だといい気はするまい。正体のしれないおっさん(確認電話をかけてくる人)に室内を覗かれるのだから。
ビデオ通話を終えた10分後に、滞在場所報告の要請が。さっき話をしたばかりじゃないか。位置情報は午前中に送ったじゃないか。
ということで、本日は4回のコンタクトがあった。
当局との接触手法には以下の4種類がある。
・現在地報告
・健康状態報告
・AIビデオ通信
・有人ヴィデオ通話
これらが時間帯を変えて毎日届く。最低3回、多いときは5回。これらに対応しなかったり、虚偽の報告をした場合には「氏名を公表することがある」とのこと。「見回り訪問」が行われることもあるそうだ。これらには入国時に誓約書提出という形で同意しているので、“罰則”が適用されてもやむを得ないのである。しかし・・・・・。
入浴もしくはトイレ中で即時対応できないこともあろう。四六時中スマホを身に着けていなければならないのか。トイレには持ち込めるが、そんなときにビデオ通信がかかってきたらどうすりゃいいんだ。
一度、シャワーを浴びているときにビデオ通信の知らせがあった。その痕跡はスマホに残っていたのでこちらから発信しようとしたが、それはできなかった。ほんの5分前のことだったのに。
また、操作を間違えて切ってしまったこともある。再確認はなし。一応起動させたことで現在地確認に代えたのであろうか。
実効性には疑問が多い
何度も応答しないと見回り訪問が行われるそうだが、そうなったとしてもどうなるというのか。強制送還もしくは某所への隔離などできるはずがない。また、氏名公表されたところで痛くも痒くもない。むしろ有名になれてうれしいではないか。
そんなわけで、14日の待期期間にルールを厳守している人はほとんどいないようだ。実際、1日4000人の違反者(厚労省調べ。2021年6月)がいるという。個人的にも「即日飲みに行った」という人を知っている。
コロナ対策アプリをインストールされた際、30ページほどのアプリ使用法パンフをもらった。
https://www.hco.mhlw.go.jp/pdf/20210811-2-jp.pdf
たいした実効性のない施策に税金使っていいのかあ? というのが率直な感想。コロナ感染防止対策はもちろん必要だが、こんなアプリやパンフにどれほどの効き目があるのかはなはだ疑問。作成・配布にあたってなんらかの利権が動いているんじゃないかという思いすらよぎる。
位置確認等の連絡を送ってくる「入国者健康確認センター」というのもよくわからない。厚労省の委託を受けた業者ということだが。
じゃあお前は14日間、自宅待機していたのか、というとそうでもない。
そうでもないのだが、2回の外出は「人道上やむを得ない事情」に基づく行動なので、誰にも文句は言わせないのだ。
その他の日? マンションから「夕焼けがきれいだなあ」「青空がきれいだなあ」と寝ころんでいましたよ。
ところで14日の自宅(等)待機にどれほどの意味があるのだろうか。我々海外からの帰国者は出国72時間以内および入国日にPCR検査を受け、陰性の結果が出ている。いわばシロなのだ。
もっとも、陽性反応が出なくてもウィルスキャリアである可能性は否定できず、完全なシロと断定するには一定期間の様子を見なければならないことはわかる。
しかし、それをいうならずっと日本にいる人々も同じではないか。潜在的キャリアは自由に歩き回っているのである。我々が感染させるより、我々が感染させられる危険性のほうが高かろう。
また、7~10日で他者への感染リスクは激減するという説もある。そうであれば、すでに3日間の陰性状態が確認されている帰国者の待機期間はせいぜい1週間でよいのではないか。ま、素人考えですけどね。
私の場合、緊急不可避の用件さえ済ませればよかったので14日は自宅待機(うち2日は外出)、解放後の3日は近所をふらふらするだけ。繁華街に出かける気などさらさらなかった。
しかし、日本在住者が海外から帰国した場合、そこまで厳密に待機ルールを守る人は少なかろう。