旧ロシア帝国が威信をかけたウスペンスキー寺院

個人旅行なら周囲の散策にも時間をあてたい

団体ツアーが必ず訪れる場所がヘルシンキには3つある。大聖堂、岩の教会、そしてこのウスペンスキー寺院。すべて教会だ。荘厳な建物を見ると「観光した」という気になるけれど、旅行会社の都合重視という印象が強い。3者の違いを正確に説明しているガイドを見たこともないし。

さてこのウスペンスキー寺院、日本語では「生神女就寝大聖堂」という。「ショーシンジョシューシンダイセイドウ」。舌かみそうだけど、マリア様を祭っているのでその名があります。ロシア正教のフィンランドにおける総本山。

1862年着工、1868年10月に竣工なので大聖堂より10年以上新しいんだけど、その建築様式からこちらのほうが歴史が長いように見えます。 ロシアの建築家Aleksei M. Gornostajevの設計でモスクワのウスペンスキーを継承。スラブ・ビザンチン様式のレンガ教会建築を代表するもの。フィンランドがロシアの統治下にあった時代におけるロシアの影響を顕著に表すものの一つ。ロシア国内を除くと、ロシア正教の教会としてはヨーロッパ最大の規模を誇る。

ああ教会に来ましたね、と思える豪華さ

内装はビザンチン様式。4本の巨大な支柱が目立つ。天井と聖壇の頂の青は、星できらめく空を示す。質素な内装を基本とするプロテスタント教会(大聖堂は例外)に比べると、豪華絢爛といっていい。

信者は立ったままで典礼に参加するのが決まりなので椅子はない。少数のベンチは病人や老人を対象としたもの。普通は見向きもされないが、イエス・キリストを運んだ棺なんてのがあったりして(もちろん作り話)、見ものはいろいろある。

中庭からは大聖堂が。北側に移動すれば遠くに港も見える。

トラム4番が同寺院の近くまで行くけど、停留所が入り口に隣接しているわけでもないので、マーケット広場なり大聖堂からのんびり歩いていくのがいいかも。周囲に密集するアールヌーヴォー建築は見事だし、2014年からトーベヤンソン公園と名前を変えた広場で休憩するのも気持ちがいい。

開館時間
火~金  9:30~16:00
土   10:00~14:00
日   12:00~15:00